ネット通販を頼りに販売をしていこうと考える人は多いものです。お店をもたなくてよいし、全国どころか世界中から注文が舞い込む可能性があります。越境ECというものです。
とはいえ、売れないショップがほとんどです。みんなが手軽にはじめられるものだからですね。ポイントは、成果をあせらないことだと思います。
複数の販売方法
無農薬野菜やちょっと贅沢なお取り寄せ、健康食品の通販をおこなっているC社の事例を紹介します。50年くらいの歴史がある会社で、C社の社長は事業承継をして数年といった状況です。
毎週決まった時間にお客さんに電話して注文を取っています。カタログやちらしを配達の荷物に入れておきます。お客さんにはお年寄りが多く、よい話し相手ということで電話が長くなってしまうこともあります。ヤクルトさんみたいな商売ですね。他社とは差別化された販売方法で、長年やってきてノウハウがたまっています。
ネット通販は、自社サイトとモール型といってアマゾンや楽天のような巨大モールに出店しています。ほかには、休日に会社の駐車場で朝市をやったり、敷地の隅に自販機を置いて販売していたり、おもしろい取り組みもしています。フードロス対策目的で、売上に大きな影響があるほど売ってはいません。
販売方法がいくつもある会社の業績を改善するのに、なにから手をつけるかというと、販売方法別に売上と経費を調べて、もうかり具合を別々に見ることです。どの売り方で一番もうけているのですか、と気になりますよね。
言うは易く行うは難し。売上も経費も、都合よくわけて集計しているとは限りません。たとえば、仕入れ。電話販売用に仕入れた商品、こっちはアマゾン用なんて、分けていません。そんなことはしなくてよいのですけれど、売上と商品と仕入れ価格が結びついていないと集計できません。
データを調べてくださいとお願いしても、慣れていませんから経費を売上の割合で案分して出したりして、その計算はこちらでもできますってことになりがちです。
データを用意してくださいと言われても、専門家の要求どおりにデータを作るのは無理な場合が多いものです。それができないから、どうやって業績の改善をしたらよいかわからず、専門家に依頼するのですものね。
正確さには目をつぶり、ありあわせのデータでざっくり集計すると、電話販売では利益が出ていましたが、ネット通販では赤字かトントンくらいという結果でした。
ネット通販で儲けが出ていないと知って、社長は危機感を強めたようでした。電話販売の方が経費がかかって儲けが薄そうなイメージがありますからね。逆だったとは。差別化は大事です。
ネット通販はもうからない?
C社はネット通販を10年くらい前からはじめていて、ネットでそれだけ売ったらたいしたものだというくらいの売上となっていました。しかもリピート率が高い。10年の積み重ねはダテではありません。成果をあせっては、こうはいきません。
ただ、ネット通販のマーケティングについて専門知識もなしに手探りでやってきたものだから、改善の余地はありすぎでした。
いいところまできているから、ネット通販を伸ばしたら業績改善がうまく行きそうです。
電話販売の方は古臭いやり方というイメージがあり、お客さんは毎週同じ時間に電話に出ないといけませんから不便です。ネットの方が便利だから若いひとならネットを選びます。
電話販売のお客さんはお年寄りで、年々自然とお客さんが減ってゆきます。売上が減ってじり貧になる未来が見えます。
そんな考えもあってネット通販をはじめていたわけですけれど、もうかっていなかったから社長はショックだったのですね。でもコンサルとしては、ネット通販を伸ばせそうだから大丈夫だと思いました。
月別の売上を見ると、電話販売では大きく上下して波があるのに、ネット通販では売上の波がなく毎月同じくらいという状況がわかりました。
電話販売の波の正体は、季節の目玉商品が売れているせいでした。通常商品は毎月普通に売れていて、波はありません。
ネットでは目玉商品が売れていない、通常商品だけが普通に売れている状況でした。ということは、ネットでも目玉商品が売れるはずだと思いますよね。商品ページでのアピールが足りない、ヘタクソということだと思われました。
電話販売では通常の売上に目玉商品の売上がプラスになるから客単価が高くなり、ネット通販より売上が大きく利益率もよいというのが、分析結果です。ネット通販でも目玉商品がプラスで売れるようになれば、利益率があがってもうかるようになりそうです。
電話で話すから、目玉商品をおすすめする機会があるのですね。ノウハウの蓄積のおかげです。
楽天、アマゾンは日本の2大通販モールですけれど、それぞれ売れるものに傾向があります。アマゾンでは仕様がカッチリしていて安心してネットで買えるもの、家電とかパソコンの周辺機器とかですね、もちろん本と音楽映像ソフトも同じです、そういうものが売れる傾向にあります。
無農薬野菜、お取り寄せは、アマゾンのメインの商品ではありません。食品なら楽天が強い。ということは、アマゾンに力を入れても効果は薄そうだとわかります。楽天に力をいれた方がよさそうです。
複数販売方法の場合は、役割分担が大事
方針は決まりました。
電話販売は現状維持を狙うことにして、売上を増やそうとはしない。売上増やそうとすると余計な費用がかかってしまいますからね。利益を第一に考えます。ネット通販が軌道に乗るまで電話販売の利益で生きのびる戦法です。
ネット通販は楽天に力をいれることにして、商品ページを改善し季節の目玉商品が売れるようにします。季節ものですから、一年のうちいつごろからお客さんは関心をもつのか、検索するのかをGoogleトレンドで調べて、そのときには予約できるようにページを作っておくことにします。予約が取れるように、よいページに仕上げないといけません。ネット通販サイトのページ作りに精通した専門家に依頼して、テコ入れを図ることにしました。
C社のコンサルのポイントは、販売方法別に利益を調べ現状把握したうえで、役割分担を決めたことです。事業ポートフォリオと言います。
電話販売は現状維持で利益をあげ、アマゾンには力をいれず、楽天で季節の目玉商品を通常商品に追加で買ってもらう。役割分担が大事です。
大変なのはデータを集めるところで、集計と分析から結論を導くところは専門家の仕事です。